【高校関係者必見】探究学習における生徒と教員のメリットとは?

最近は「探究」がアクティブラーニングのひとつとして注目され始めました。
2022年度から高校では「総合的な探究の時間」が本格的にスタートします。
そこで高校の先生や教育関係者のなかでも、「探究の授業をどういうふうに実施しようか」「これまでとは何が違うの?」と不安や疑問なことがあると思います。


そこでこの記事では探究学習とは何か、メリット・デメリットを生徒と教員の視点で解説します。
ぜひ参考にしてよりよい学びの質の向上に活かしてください。

探究学習とは「自ら学ぶ力・考える力」を育む学習

探究学習は自ら学びを創り、考える力を育む学習のことです。
自分が興味のあることや疑問、違和感から課題と仮説を考え、情報を集め分析してまとめる、というサイクルのなかで学習していきます。
学習を進める際は周りの生徒や大人と意見交流をし、協働して活動するのも特徴のひとつです。


総合的な学習の時間では、「自分の在り方や生き方を考えながら、課題を発見し解決していく」ことを大切にしています。
自分の過去・現在・未来を踏まえた課題設定をすることで、より学びが深まります。これまでの知識を得る学習よりも、学ぶ過程や学習方法を重視しているのが探究学習です。

探究学習がどうして注目されるのか

探究学習が注目されるようになった背景には「生きる力」が関係しています。
生きる力とはキャリアを築く上で必要な力のことで、①主体性、②知識・技能、③思考力・判断力があります。なぜ生きる力が重要かと言うと、これからはVUCA(ブーカ)と呼ばれる誰も予測不可能な時代になるからです。

また2050年には今ある仕事の半分が人工知能やロボットに代替されると言われています。そのため生きる力を育み、予測不可能な時代でも自分の軸を持って生き抜くための術を身につける必要があります
そこで課題解決や主体性や協働性を育む探究学習が注目されるようになったのです。

生きる力

探究学習のメリットは学びが大きい

探究学習の最大のメリットは関わる全ての人にとって大きな学びがあることです。学習者である生徒はもちろん、教員や地域の人などにとっても新しい体験や交流によって学びの循環が生まれます。それでは生徒と教員のメリットについてみていきましょう。

生徒側のメリット

生徒側のメリットは大きく3つあります。
①課題解決能力が身につく
②コミュニケーション力が身につく
③自信がつく

①の課題解決能力は、課題設定をして仮説を立て検証するというプロセスを経験することによって得られます。
課題解決能力は調べる力や問う力も培われ、国語や数学などの他の分野においても活かせるスキルが身につきます。

②のコミュニケーション力は、多様な人との協働で身につきます。探究学習は個人ではなくグループで行うことや、大人や学校外の人を巻き込むことが多いです。そのため自分の意見を伝えることや他社の意見を尊重するといったコミュニケーションを自然と行います。

③自信がつくは、成功体験を積むことによって得られます。
探究学習を始めたばかりの頃は、「自信がない」「自分には無理」といった声ややる気がない生徒が多くいます。しかし進めていくうちに、情報を集め、アンケートやインタビューを元にした課題解決をできるようになります。


そういった小さな成功体験を積み上げることで、「次はもっとこんな風にやってみたい」というような声が出てきます。実際に学校で探究学習を指導するなかでも、調べ方やコミュニケーションといったスキル面での成長はありますが、何よりも精神面での成長が著しいのが探究学習の大きなメリットです。

教員側のメリット

教員側のメリットは2つあります。
①探究学習の授業を外部と協働で進められる
②伴走する力・フォローする力が身につく

①探究の授業では先生だけでなく、外部の人材と連携して実施することで、教員の負担を軽減することができます。探究学習は各教科の授業とは異なるため先生だけで実施するのはとても苦労します。探究で培う課題解決能力は教員よりも、社会経験のあるサラリーマンや起業をしている人のほうが高いです。


そのため外部人材に生徒へアドバイスをもらいながら授業をするのが一番効果があります。そうして外部の力を借りて、負担を減らしながらも生徒の学びを最大化させられます。

②伴走する力・フォローする力は教えることではなく「見守る」ことで身につきます。探究学習では、生徒が主体となって考えることが重要で、教員はできるだけ口出しをしてはいけません。先生は「生徒に失敗してほしくない、少しでも確実な道を進んでほしい」と思うでしょう。ですが、探究学習においては失敗も大きな成功体験の1つです。

そのためやってみてどうだったかを振り返るようにして指導することが大切になります。導くのではなく同じ目線に立って一緒に考えることが伴走する力を身につけられるポイントです。

メリット

探究学習のデメリットは変化と負担が大きい

探究学習は学校現場で大きな変化があり、それに伴って生徒も教員も負担が大きくなります。次に生徒と教員のデメリットについてみていきましょう。

生徒側のデメリット

生徒側のデメリットは2つです。
①勉強の時間が短くなる
②進路に直結しない

①探究学習では課題を見つけることが大変だったり調査をすることに時間がかかったりします。それらは授業時間内ですることは難しい場合もあり、自分で時間を作ってする必要があります。ただでさえ部活や塾で時間がないため、より時間を削ることで勉強の時間が短くなるというデメリットがあります。

②探究学習は必ずしも進路に直結しないというデメリットがあります。なぜなら入試では関係ない科目だからです。AO入試や推薦入試で評価するところも最近は増えていますが、一般入試の場合では探究学習での成果は反映されません。そのため生徒自身も入試に直結しないならとモチベーションが上がらないということもあります。

教員側のデメリット

教員側のデメリットは2つあります。
①授業が難しい
②外部人材とつながりがないと難しい

①探究の授業は教科の授業とは異なり、非常に難しいと言われています。
というのも進め方の答えも無ければ、先生も経験がないことを授業で扱うためです。また生徒もやる気がない場合が多いため思ったように進まず授業内容を変更することがよくあります。


②外部人材とつながりがないと先生だけで授業を進めることになります。
その場合は探究学習で大切な「協働」が出来ずに効果が半減してしまいます。
また形だけの調べ学習のような探究学習とは言えないようなものになってしまうでしょう。

デメリット

探究学習は絶大な効果が期待されるが課題も多くある

探究学習は予測不可能な社会を生きるために、「自ら学び・考える力」を身につけることを目的としています。探究学習には高校生はもちろん教員にとってもメリットがある反面、デメリットもあります。生徒にとっては、課題解決能力やコミュニケーション力が身につけるなかで自信がつくが、デメリットとして、時間が削られることや進路に影響しにくい点です。


教員にとっては、外部と協働で進めることで負担を減らしたり伴走するスキルが身につきます。その一方で外部連携がないと授業の実施難易度が高くなるというデメリットがあります。デメリットにあげられる課題を解決していくのがまさに「探究学習」です。生徒だけでなく先生も学ぶ姿勢を持って進めていけば必ず生徒の学びが最大化された探究学習になると思います。


ぜひ探究学習のメリットとデメリットを参考にしてどのように実施していくかを考えてみてください。

参考元:文部科学省

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