校務分掌とは?種類と仕事内容を解説【意外と知らない大変な業務】

「校務分掌が大変らしいけど、何をするのか分からない」という人は多いのではないでしょうか。

教師の仕事をイメージする時、授業や生徒指導、保護者対応をいった職務は何となく想像しやすいですよね。あまり知られていませんが、「校務分掌」も非常に重要な仕事です。

今回は、校務分掌の仕事内容や種類についてご紹介します。これから教職に就く人はもちろん、現状の教員業務に不安を抱えている人もぜひ参考にしてみてください。

校務分掌とは

校務分掌とは、学校を運営するために教員が分担して行う仕事です。学校行事の運営や外部団体との調整など、多種多様な業務を分掌ごとに担当します。

新任の場合、「学校運営に関する校務分掌」と、「教科の校務分掌」をそれぞれ受け持つのが一般的です。

校務分掌の名称や仕事範囲は学校ごとに異なります。校種によっても大幅に変わるため、今回は小学校の校務分掌をベースにご紹介します。

校務分掌の種類

学校運営に関する校務分掌については、それぞれの分掌ごとに複数の教員が所属しています。前年度から引き続いで受け持つ教員がおり、前年度の反省を踏まえてよりよい学校運営につなげていく仕組みです。

教務部

教務部の仕事は学校運営全体に関わるものが多く、責任の重い仕事です。学校のスケジュールや成績に関する仕事を担当します。

<仕事内容の例>
・年間行事、月間行事予定の作成
・時間割の作成、授業時数の管理
・特別教室(PC室、体育館など)の割り当て
・成績処理
・指導要録の作成

小学校での時間割作成では、「運動場を週2回・体育館を週1回」などの基準を満たしつつ、同じ時間にたくさんの学級が集中しないように配分します。学級ごとに授業時数が足りなくならないよう、祝日休みや行事スケジュールを加味して作成されます。

スケジュール

研究部

授業の質を高めるための手立てを講じるのが研究部です。研究テーマを設定して校内研究組織を作り、教員の指導力向上を目指します

<仕事内容の例>
・校内研修の推進
・研修のスケジュール調整
・研修に関わる外部講師との調整
・他校の公開授業を視察、情報収集
・全国学力テストの運営と分析

研究授業を統括するのも研究部の役割です。多くの学校では、すべての教員が1年に1度の研究授業を行います。研究授業では担当教員以外のクラスを全て自習にして、すべての教員が集まって研究授業を見学し、放課後にフィードバックを実施します。

生活指導部

児童生徒の学校生活に関連する業務を担当します。ルール・マナーの呼びかけや下校指導など、児童生徒に直接関わる仕事が比較的多いです。

<仕事内容の例>
・放課後指導
・長期休暇指導
・登下校指導、校区巡回
・いじめ、不登校対応
・交通安全教室等の企画運営

小学校では子どもの登下校の様子をチェックしたり、校区に危険な場所がないかを確認したりします。また、子どもによる突発的なトラブルが発生した場合には、問題の把握や再発防止を図る役目を担います。

健康教育部

体育・保健・給食などにかかわる分掌です。学校や校種によって扱う業務の範囲が大きく異なります。

<仕事内容の例>
・運動会などの行事運営
・プール管理
・遠足の企画、運営
・健康診断の計画、運営
・清掃用具の管理

小学校の場合、運動会の運営にあたるのが健康教育部です。校庭の整備、スケジュール割り振り、安全面の確保など、業務内容は多岐にわたります。スポーツテストやマラソン大会などの体育行事運営がイメージしやすいですが、学校によっては養護教諭と栄養教諭も健康教育部に所属し、保健や給食に関わる業務も行います。

運動会

学習指導部

学習・教科指導に関する分掌です。児童の学習に関する業務を広く扱っています。

<仕事内容の例>
・図書の管理、整理
・情報機器の管理、PC室整備
・掲示板の管理
・人権教育
・国際理解教育

「図書の管理」では、点検や新しい本の選定、朝読書の企画運営などを行います。「掲示板の管理」では、児童の書いた絵や書き初めについて「どこのクラスがどこに貼るか」「特別掲示の日程」などを割り振ります。情報教育・外国語教育や人権教育などの取りまとめも学習指導部の仕事です。

進路指導部

中学・高校で設置されている進路指導部は、入学から卒業までの進路行事を運営します。生徒の進路先に直結する重要な役割を担います。

<仕事内容の例>
・大学等、広報担当者との連絡調整
・指定校推薦の取りまとめ
・就職説明会の企画、就職試験対策指導
・模試や入試の分析
・夏季、冬季講習の企画運営

高校の場合、在校生の進学・就職フォローとともに、高校入学を目指す中学生向けの説明会や文書取りまとめを行います。

生徒会部

生徒が関わる行事の企画運営を行うのが生徒会部です。特に高校では、生徒が主体となって行事を進めていくため、サポート役としてさまざまな業務を行っています

<仕事内容の例>
・体育祭、文化祭、3年生を送る会などの企画運営
・実行委員会の企画運営
・文化祭関係の会計報告

生徒会に所属する生徒が行事を進めていけるよう、裏方に徹してサポートします。教員が目立ちすぎてしまうと生徒たちの自主性が損なわれてしまうため、さじ加減が重要となる分掌です。

教科の校務分掌

小学校の場合、全教員がいずれかの教科の分掌を受け持つケースが多いです。小規模校の場合は1人で複数の教科を担当することもあります。

<仕事内容の例>
・教材管理
・特別室の整頓、管理
・備品点検、修繕依頼

教員

校務分掌の決め方

校務分掌は学校運営全体を見据えて決められます。学校ごとに分掌の業務内容や特色が全く異なるため、前年度から引き続き同じ分掌に就く教員がいるように組まれます。
新任の教員が分掌を選ぶのは難しいですが、経験のある教員が分掌内にいるケースが多いので、1年目は与えられた仕事をしっかりとこなしましょう。なお、20代で分掌の主任を経験する教員が多いので、「いずれは自分も主任となる」という気持ちを持って仕事に臨んでください。

まとめ

校務分掌は、学校を運営するために割り振られる重要な業務です。学校や校種によって異なりますが、「教務部」「研究部」「生活指導部」「健康教育部」「学習指導部」「進路指導部」「生徒会部」などが設置されています。

教員の仕事は、学級経営や日々の授業の大変さがクローズアップされやすいですが、実際は校務分掌も非常にハードな業務です。慣れないうちは仕事量の多さに圧倒されるかもしれませんが、経験を積み重ねて少しずつ業務内容を理解し、より良い学校運営に貢献していきましょう。

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