コロナ禍の中学高校、年間行事の代替案は?昨年の事例紹介

新型コロナウイルスの影響で、学校行事の中止や、内容を変更することが求められています。「密を避ける」「大声を出さない」「狭い空間では話さない」などの厳しい対策を取りながら、学校行事を進めるのは難しいのが現状ですよね。

「生徒のことを考えると、行事を実施したいけれど、感染が心配…」
このように、年間行事をどうすべきか頭を抱える先生も多いのではないでしょうか。

今回は、コロナ禍で中学校や高校の年間行事はどのように変化したのかを紹介します。規模の縮小や、代替の行事を実施した学校の例を紹介していくので、学校行事の見直しアイディアを探している方の参考になれば嬉しいです。

コロナ禍は各中学高校の年間行事に工夫が見られた

コロナ禍では、例年通りに行事を実施することが難しく、頭を悩ませた先生も多いはず。そんな中、日本の中学校・高校では、大幅に内容を見直したりや工夫を凝らした行事運営が見られました

市町村によっては、体育祭や文化祭の中止を早い段階で決定しなければならなかったケースもあります。一方で、コロナ禍でも規模を縮小したり、代替案を使ったりしながら、知恵を絞って実施する中学校や高校がありました。

規模を縮小する場合は、オンライン化や来場の人数を制限して実施。代替案を使う場合は、生徒が主体となって企画し、コロナ禍であっても楽しい行事を実施できた学校もあります。

これからは、中学校・高校での大きな行事の1つである
①儀式的行事
②修学旅行
③体育祭・文化祭

これらの行事への取り組みについて紹介していきます。

他の学校の実施方法を知ることで、学校行事を企画や運営を見直すきっかけになるかもしれません。

コロナ禍の中学高校での代替案:儀式的行事の場合

入学式や卒業式などの儀式的行事は、ほとんどの中学校・高校が工夫して実施しました。式の際にはコロナ対策として、
・オンライン化
・式の内容を縮小
・人数を制限

このようなことが行われています。

卒業式会場での密を避けるために、保護者がオンライン上で式の様子が見られるようにした学校があります。卒業式が行われる体育館や、式後の学級活動が行われる教室にカメラを設置。卒業式に参加しているように、保護者が自宅で映像を見られる環境が整えられました。
「各家庭につき保護者1人」など、保護者の入場人数を制限して式を実施した学校もあります。

また、感染防止のために式の内容を縮小した学校も。例えば、卒業生や在校生の挨拶や合唱をなくし、生徒が話すことがないように式の内容を変更しました。卒業証書の授与と校長や来賓の挨拶のみの式なので、同じ場所に生徒が集まる時間を最小限にすることが可能でした。

入学式や卒業式は、学校生活のスタートや区切りとなる大切な行事です。そのため、中止にはせず、オンラインや式の内容を変更して行う学校が多くありました。

入学・卒業

コロナ禍の中学高校での代替案:修学旅行の場合

中学生や高校生にとって1番の行事だといっても過言ではない修学旅行。残念ながら、中止の決断をしなければならない学校もありました。

そんな中、旅行の内容を見直したり、リモートで行ったりすることで、修学旅行を実施した学校もあります。

修学旅行を実施

修学旅行を行った学校は、旅行の行程を練り直し、都会を避ける場合が多かったです。例えば、私の知り合いがいる北海道の中学校の場合は、札幌への旅行を避け、行き先を帯広や旭川に変更して実施。高校の場合は、東京・大阪・京都などの定番ルートを変更し、東北や沖縄への旅行に切り替えた学校もあります。
コロナが落ち着く時期や、様子を見て時期をずらしながら実施する場合がほとんどでした。日数を短くしたり、日帰り旅行に変更したりするなどの代替案を検討した学校もあり、学校によって実施方法はかなり異なりました。

修学旅行をリモートで

修学旅行体験をリモートで行った学校もあります。久喜市の鷲宮西中学校では、奈良・京都への修学旅行を中止し、代わりにリモート修学旅行を実施。生徒たちはZoomを使って、奈良の僧侶の話を聞いたり、京都の和菓子を食べたりして、普段とは違う学びを経験しました。

リモート

コロナ禍の中学高校での代替案:文化祭や体育祭

文化祭や体育祭も、やはり中止になってしまった中学・高校があります。コロナ禍で、人との関わりが多く、密が避けられない行事を実施するのは難しいのが現状です。

その中でも、実施方法を工夫したり、代替案の行事を実施したりしている学校がありました。

会場を変えて文化祭を実施

京都にある詳徳中学校は、会場を2万人収容できるスタジアムで文化祭を行いました。密になってしまう校内ではできないことも、広いスタジアムでは実施することができました。例えば、全校合唱や○×クイズなどが企画され、会場は熱気に包まれるほど盛り上がりを見せたそうです。スタジアムには、全校生徒の他に保護者や校区に通う小学生、地域住民も招待。場所を広くすることで、普段以上の文化祭を実施することが可能でした。

この他にも地域のホールを借りて、生徒の待機場所を分けたり、モニターを使って会場を映したりと、工夫をしながら文化祭を実施した学校がありました。

内容を見直して体育祭を実施

体育祭を行う場合は、競技の内容を見直したり、消毒を徹底したりすることで、実施できた例もあります。

横須賀市立鴨居中学校は、競技の内容を見直して体育祭を実施。道具を使う競技では、道具を触る前後に消毒を徹底しました。また、競技中の応援で声を出すのは、応援団員だけに制限。綱引きや大縄跳びは、例年よりも人数を減らして実施しました。コロナ禍でも体育祭ができたことで、鴨居中学校の校長先生宛に、「私たち3年生は、最後の体育祭を思いっきり楽しめました。」というメッセージが届いたそうです。

文化祭や体育祭の代替案

文化祭や体育祭の代替案を使って実施している学校もありました。

文化祭が中止になってしまった日光市の今市高校では、体育祭と文化祭の要素を取り入れた2日間の「今高オリンピック」を実施。学校を盛り上げるために生徒会が中心となって企画をしました。体育祭要素のある部活動対抗リレーや借り物競走から、文化祭要素たっぷりの隠し芸大会や書道パフォーマンスなどがあり、盛り上がりを見せました。

沖縄県立陽明高校・高等支援学校の生徒会は、中止になった体育祭の代わりに「傘で学校を彩るプロジェクト」を企画。青やオレンジ、緑など色とりどりのビニール傘300本をテニスコートの上空に飾りました。傘の取手の部分には、生徒の願いが書かれた短冊がつるされています。「多くの行事が中止になったが、学校を彩り、みんなを元気付けたい」という生徒会の思いで実現した企画です。

生徒たちが中心となって代替案を企画・運営することによって、例年以上の行事が実施できたり、生徒たちが笑顔になったりするきっかけになりました。

学生主体

コロナ禍でも楽しむために生徒主体の代替案も多い

今回は、中学校や高校の学校行事が、コロナ禍でどのように行われたのかを紹介しました。例年通りのまま実施できる行事は少ない中、苦渋の決断で中止を選択したり、規模を縮小する選択をしたりと、学校によってさまざま。代替案を実施する学校の中には、生徒たちが中心になって今まで以上の行事を作り上げた学校もあります。

安心・安全な環境の中、生徒の成長のきっかけや楽しい思い出の1つになる行事を企画・運営できるのがベスト。コロナウイルスの流行状況などを見ながら、その時に最適な決断をしたいですね。この記事が、コロナ禍の学校行事のあり方を考える際のきっかけに少しでもなると嬉しいです。

◎参考資料
運動会、体育祭、文化祭などの行事の中止、本当にそれでいいのか?【学校再開後の重要課題(2)】
延期、近場、短縮の末に…翻弄される修学旅行 相次ぐ中止、保護者も苦悩
コロナ対策、2万人収容スタジアムで文化祭 京都・亀岡の中学校「今年しかできない思い出」
横須賀市立鴨居中学校「体育祭の取り組み」
コロナに負けるな!笑顔あふれる体育祭 今市高、生徒中心に企画
コロナで中止の体育祭の代わりに…学校の上空に咲くパラソルの花
修学旅行中止 広がる代替行事

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