生徒が自分の人生をよりよく生きていくために欠かせないキャリア教育。
キャリア教育の授業は、生徒が自分の将来について深く考えたり、やりたいことと真剣に向き合う機会になったりするなど、とても重要です。
しかし、実際にキャリア教育の授業をしようと思っても、アイディアが浮かばないなど、困っている先生もいるのではないでしょうか。
キャリア教育の実践は、学校によって特色があるので、いろいろな事例を知ることで、授業計画をする際に役立ちます。
今回は、女子校でのキャリア教育の実践を3つご紹介!
個性的なプランもあるので、キャリア教育の授業づくりの参考にしてくださいね!
目次
キャリア教育は、すべての生徒にとって大切ですが、女子校だからこそ重視したいこともあります。
女性として生きていると、
・子どもはほしいのか
・出産後は働くのか
このような選択に迫られることがあります。
キャリア教育を通して、自分の将来のビジョンを持っておくことで、生徒たちは計画的に自分の人生を歩むことが可能です。
私も女子校出身なのですが、高校生の時に「結婚後は働きたいか?」について、クラスメイトとディスカッションをする機会がありました。
高校生なりに女性としての進路について、しっかりと考えるきっかけになったことを覚えています。
子どもや家庭のあり方が女子生徒の人生に大きな影響を与える場合が多いので、女子校でのキャリア教育はとても重要ですね。
ここからは、女子校のキャリア教育事例を3つ紹介していきます。
1つ目に紹介するのは、品川女子学院の実践です。
品川女子学院では、中学校の3年間で「28プロジェクト」を実施しています。
「28プロジェクト」とは、キャリアや結婚などと向き合う年齢を28歳と仮定して、ライフデザインを考える授業です。生徒が多様な経験を通して、積極的に人生設計ができるように、さまざまな取り組みが用意されています。
中学校の学年別に、それぞれの実践を紹介していきます。
「地域を知る」活動
1年生の頃には「地域を知る活動」を通して、地元の過去や現在、未来を考えます。地域の「見どころマップ」を作ったり、地元の紹介CMを作成したりします。
地域貢献を通して、徐々に生徒たちの社会性を育てていくのが目的です。
「日本を知る」活動
中学校2年生になると、「日本を知る」ための宿泊行事があります。
日本を知る目的は、自分の源流に誇りを持てるようになること。
宿泊行事では、浴衣の着付けや茶道、花道など日本の文化に触れることで、自分の国への知識と理解を深めます。
「世界を知る」活動
中学校3年生になると「世界を知る」活動として、ニュージーランドへの修学旅行があります。異文化を知り、語学学習の動機付けをすることが目的です。ニュージーランドでは、現地の学校に通い「世界」を体験。
修学旅行の他には、協力企業と一緒に商品やサービスを開発したり、宣伝活動を行ったりするなど、仕事という「世界」を体験します。
森永製菓やキューピー、Yahoo!JAPANなど、有名企業の担当の方と、共同で作業を進めます。職業意識や将来の目標設定をする上で、貴重な経験となっています。
2つ目に紹介する女子校のキャリア教育事例は、東京家政大学附属中学校・高等学校の実践です。東京家政大学附属中高では、「ヴァンサンカン・プラン」という名前で、中高一貫のキャリア教育の授業を実施しています。ヴァンサンカンとは、フランス語で25歳という意味。理想の25歳を実現するために、「今」すべきことを考え、実践するための授業です。
中学校と高校での実践が異なるので、それぞれ紹介していきます。
中学校での取り組み内容
東京家政大学附属中学校では、「自分を知り、人間力を磨くための取り組み」を実施しています。
生徒が自分を知るために、母校訪問やエゴグラム診断、グループコミュニケーションなどを実施。2019年には、自分史を作成して、自分についての理解を深めました。その他にも、人間力を磨くために芸術鑑賞会や食育教室、マナー講座などがあります。
高等学校での取り組み内容
高等学校では、「自己実現のための具体的な取り組み」を実施。
入学直後に、25歳になった自分自身の理想像を意識して作文を書く「25歳の私」作文があります。自分の思いを文字にすることで、将来のために、今何をすべきかが明確になり、学習へのモチベーションもあがります。
その他にも、
・企業インターンワーク
・夢ナビプログラム
・大学分野別模擬体験授業
・小論文学習
・ボランティア研究・体験・発表
・面接学習
など、自己実現のための授業が数多くあります。
ボランティア活動では、自分自身で活動場所を探し、現場を訪ねて活動するため、自主性や行動力が求められます。主体的に体験することで、自己成長にもつながる活動です。
南山高等学校・中学校女子部では、広い視野で生徒が進路選択できるように、さまざまなキャリア教育を行なっています。
「人間の尊厳のために」という教育理念のもと、自分が果たすべき役割を考えられる進路指導が特徴です。
学習指導や面談に加えて、生徒の進路実現を具体化するプログラムが準備されています。
例えば、高校生の時には、オリエンテーション合宿や職場体験プログラム、卒業生たちを招いての進路講演会があります。
今回はその中でも特徴的な、「オリエンテーション合宿」について紹介します。
オリエンテーション合宿
高校1年生の時は、京都に1泊2日で出かける「オリエンテーション合宿」を実施。
大学のキャンパスを訪問したり、訪問した大学に在籍している卒業生から大学生活や受験勉強についての話を聞いたりします。
訪問大学は、京都大学や同志社大学、立命館大学など。
実際に受験を経験した現役大学生の話を聞くことで、
「リアルな大学生活の話を聞いて刺激を受けた」
「焦らずに進路を決めていこうと思った」
このように感じている生徒もいます。
南山高等学校・中学校女子部の先生は、「(進路は)この時までに決めなきゃいけないという決まりはないし、他人と比較するなんてナンセンス、自分に正直になりなさい。」と生徒に語りかけています。
今回は、女子校でのキャリア教育事例を3つ紹介しました!
どの学校も特色があり、キャリア教育に力を入れていることがわかります。
大手の企業とのコラボレーションや、大学見学の合宿など、公立学校ではなかなか見られないような事例も。
キャリア教育は、生徒の進路選択はもちろん、その後の人生をどのように生きていくかに大きく影響する大切な時間です。
学校や地域、生徒の実態に合わせてキャリア教育の授業を考える上で、少しでも今回紹介した女子校の事例が参考になれば嬉しいです!
◎参考資料
・中学入試レポート
・品川女子学院
・東京家政大学附属中高
・南山高等・中学校女子部(【特集】「もっと外の世界を知ろう」視野を広げるキャリア教育…南山女子部)
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