キャリア教育の実践事例5選〜高校編〜

高校生になると進学や就職が間近になり、自分のキャリア選択の責任が大きくなるので、高校でのキャリア教育はとても大切です。高校で実施されているキャリア教育は、その学校により特色があり、生徒の実態に合わせて計画されていることが多いです。

今日は、特色のある高校のキャリア教育実践事例を5つ紹介します!貴校のキャリア教育にいかせる部分があれば、参考にしていただけると嬉しいです。

では早速、実践事例を5つ紹介していきます!

高校でのキャリア教育実践事例①: ライフプラン作成

1つ目に紹介する高校でのキャリア教育の実践事例は、ライフプラン作成です。ライフプランを作成することによって、自分の夢やしたいことが具体的になり、将来に見通しをもって高校生活を送ることができます。

秋田県立能代高等学校では、高校1年生の集大成として、将来の夢や志を含めたライフプランを作成します。作成したライフプランは、クラスメイトに発表。発表を通して自分の考えを他者に伝えることで、自分のライフプランがより明確になったり、生徒同士の相互理解が深まったりします。

他の生徒の将来への考えも聞くことができるので、自分の考えを広げる機会にもなります。2年生の時には、ライフプランのうち、より近い未来についての将来プランを作成します。こちらも発表をするので、近い未来について自分の考えや目標を再確認することができます。

ライフプランを作成することで、生徒が自分の将来について真剣に考え、そのプランに向かって目標や志を持って生きていくきっかけにもなります。

高校でのキャリア教育実践事例②:インターンや実習

次に紹介する高校でのキャリア教育実践事例は、インターンや実習です。リアルに職業を体験することによって、働くとは何か、自分の夢への想い、どんな力が必要なのかを明確することができます。

大阪府立布施北高等学校では、就職希望者が多いので、学校と地域の企業・施設と協力をしてキャリア教育を実施しています。

生徒は、高校2年生から年間を通じて週に1回、企業や施設で実習を行い、キャリアへの意識を高め、「在学中に何を学ぶか、何をするべきか」を考えることができます。大阪府立布施北高等学校は、その他にマナー講習会や、プレゼンテーション交流会、企業・施設見学なども実施しており、就職を希望する学生をサポートするキャリア教育が実施されています。

高校でのキャリア教育実践事例③:地域とつながる

高校でのキャリア教育実践事例の3つ目は、地域と連携するキャリア教育です。学校と地域が連携し、子どもたちが地域の方々と協力して何かに取り組むことで、学校で身に付けた専門知識を活かしたり、自分自身が日常で学んでいる知識がどのように役立つかを認識したりと、自分自身にも自信を持つきっかけにもなります。

栃木県立矢板高等学校では、生徒が「自分自身は価値のある人間である」と思えるように、多彩な地域活性化の活動に取り組んでいます。例えば、地元の特産品を活用した新商品を開発・販売したり、地域の行事に参加して、専門分野に関する出し物や販売、そして高齢者などに向けてデイサービスの取り組みを行ったりしています。

矢板高等学校では、「これは生徒のためになるのか、自信につながるのか」を第一に、地域と連携しながら、人とのつながりを活かしたキャリア教育を実践しています。

高校でのキャリア教育実践事例④: 国際交流

4つ目に紹介する高校でのキャリア教育実践は、国際交流を通した教育実践事例です。他国の生徒と交流をすることで、今までの授業だけでは体験できない経験ができ、自分の将来のビジョンが広がります。

和歌山県立日高高等学校は、地域の魅力を世界に発信することで地域の発展を牽引するグローバル人材の育成を目指しています。具体的な取り組み内容は、「地域文化」「移民の歴史」「地域産業」「地域防災」の4テーマを設定して、1年生の頃は全テーマの基礎的な学習を行います。2、3年生の時に、4つの中から1つのテーマを選んで、国内外の高校生と連携しながら課題研究に取り組んでいます。

企画段階から生徒が主体となって参加することで、その経験を通して充実感を得ることができ、高い進路目標への挑戦や意欲的な学習姿勢につながっているとのことです。

国際交流を交えた生徒主体のキャリア教育を実践をすることで、普段の授業以上に生徒の意欲や挑戦、そして自分の価値観を広げることにつながります。

高校でのキャリア教育実践事例⑤: インクルーシブ教育

最後に紹介する高校でのキャリア教育実践事例は、生徒一人ひとりと向き合うインクルーシブ教育に力を入れた実践です。

現在は発達に偏りがある生徒が増えているという状況があり、特別な支援が必要な生徒や心因性不登校の生徒をサポートできるキャリア教育実践も求められています。生徒一人ひとりの個性と向き合い、キャリア教育のプランを作成し、教員自身も特別支援教育について勉強することで、インクルーシブなキャリア教育を実践することができます。

長崎玉城高等学校では、特別な支援が必要な生徒を対象に「共育コース」を設置して、特徴的なカリキュラムや組織的な支援体制のもとにキャリア教育を実践しています。共育コースの特徴としては、普通教育に関する教科に加え、社会人入門講座、ソーシャルスキルトレーニング、ライフスキルトレーニング、職業訓練などの授業があります。

職業訓練では、毎週パンを焼き、校内・高齢者施設・幼稚園で販売をするなど、年齢を超えたコミュニケーションを学ぶことができます。これらの手厚いサポート体制やキャリア教育のカリキュラムによって、生徒たちの不登校が解消したり、発達の偏りが薄らいだりする様子も見られ、高校におけるインクルーシブなキャリア教育の必要性を強く感じる事例です。

生徒の実態にあった特色あるキャリア教育が生徒の生き抜く力に

今回は、高校におけるキャリア教育の実践事例を5つ紹介させていただきました!高校によって特色があり、興味深い実践が多くて、自分自身も「こんな経験してみたい!」と思いながら記事を書いていました。

高校は、小学校、中学校よりも学校の特色があり、それを活かせる校種です。また、生徒自身が自分で選択をして高校を選んだという点も他の校種との大きな違いです。それぞれの学校の生徒の実態に合ったキャリア教育を実践することで、生徒が自分自身の価値を認め、将来について積極的に考え、行動できるようになることが5つの実践事例からもよくわかります。

貴校の特色、そして生徒の実態にあったキャリア教育実践で、生徒たちがこれからの時代を生き抜く力を身につけられるのが理想です。この記事が、貴校のキャリア教育実践の参考に少しでも役立てば嬉しいです!

参考資料

・文部科学省 キャリア教育とは何か?
・文部科学省 高校におけるキャリア教育の実践
・先進校に学ぶキャリア教育の実践
・キャリア教育・進路指導に関する総合的実態調査
・文部科学省 キャリア教育の現状
・文部科学省 キャリア教育の現状
・国際交流(日高高校)
・地域とつながる(矢板高校)
・インクルーシブ教育(長崎玉城高校)