キャリア教育の実践事例〜中学校編〜

この記事の要点

  1. ワークシートで授業に主体的に取り組んでもらう
  2. 企業体験で自分の進路についてしっかり考えるきっかけに
  3. 外部講師を招いて新たな発見を

中学生の頃から、将来についてしっかりと考えるキャリア教育の授業作りは、子どもたちのためにかなり重要ですよね。
「でも、キャリア教育を考えろって言われてもどうしたらいいかわからない!
そんな忙しい先生方に向けて、今日はキャリア教育の実践事例を3つ紹介します!
学校や子どもたちの実態に合わせて、アレンジをすることでオリジナルな授業にすることができます。授業作りの参考になると思うので、ぜひ記事を読んで、「授業を考えなきゃいけない!」という負担を減らしてくださいね!

この記事の中では、

  • ワークシートを使った活動
  • 企業体験
  • 外部講師の講演

この3種類を紹介します。

では、さっそく紹介していきます!

キャリア教育が必要な3つの理由

まずは、キャリア教育が必要な3つの理由を紹介します。

文部科学省によると、

“キャリア教育とは、一人一人の社会的・職業的自立に向け必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育である。”と説明されています。

経済産業省で紹介されているキャリア教育が必要な理由は3つあり、

  • 子どもたちが将来を考えるきっかけにするため
  • 子どもたちがなぜ学ぶのかを学ぶため
  • 子どもたちが自立できる力を身につけるため

AIなどが進化する中、今の中学生は以前と比べても求められる知識や技能が多くなっています。また、日本教育の課題として「学習意欲の低下があげられています。さらに、地域やコミュニティとの関わりが減っている今、子どもたちの精神的・社会的な発達が遅れることも心配されています。

そのため、キャリア教育は子どもたちが将来、自分らしくいきいきと生きるために、重要な役割を果たします。

学校でキャリア教育の活動を考える際にも、キャリア教育の目的を意識して授業プランを立てることで、ブレがない有意義な授業を作ることができます。

子どもたちが普段の授業では考えることが少ない自分自身について、将来について、職業についてなど、意欲的に参加できる授業作りをしていきたいですね!

中学校でのキャリア教育実践事例①:ワークシート

では、次にキャリア教育の実践例を3つ紹介します。

ぜひ自身の学校の子どもたちの実態に合わせてアレンジしながら使ってみてください。

1つ目に紹介するキャリア教育実践事例は、ワークシートを使った活動です。

この活動は、中学校の教室で簡単に取り組むことができます。キャリア教育の最初の授業や、何かの体験をする前、学習したことを振り返るタイミングなどで活用できます。

ワークシートを使った活動は、中学生が自分自身について考える時間なので、自分がどんなことを考えているのか、何がしたいのか、何が好きなのかなど、将来どんなことをしたいのか考えるきっかけにすることができます。

例えば、価値観マップ作成などの活動も楽しいです。

こちらの活動は、私の知り合いの先生の実践です。

価値観マップ作成

価値観マップとは、自分が何を大切にして、どのように生きていきたいかを考えるベースになる人生の地図のようなものです。

価値観マップを作ることで、自分の人生を生きるための軸が見えてくるので、やりたいことが見つからなかったり、進路に迷ったりしている子どもたちも自分の将来について考えやすくなります。

マップ作成に必要なのは、ペンと白い紙のみです。

価値観をマップ作成する際は、

  • 自分にとっての幸せとは?
  • 何を大切にしているか?
  • 何をどうしたくて今ここにいるか?
  • 人生のやりたい30のこと

これらの項目について、マインドマップを作っていくという活動です。

「何をどうしたくて今ここにいるのか」の項目は、中学生の時点で考えにくいかもしれないので、他の項目に差し替え活動をするとスムーズかもしれません。

また、項目が書き終わったら、グループで質問をしあい、さらに自分の考えを深くしていくのがおすすめです。

価値観マップは、キャリア教育の1時間目に実践すると自分の将来について考えるきっかけになるので、その後の授業に主体的に取り組むきっかけになります。どの学年でも実践できるので、学年ごとに価値観マップを作って比較するのも面白いですね。

このほかにも、マンダラシート作成や、20歳の自分をイメージして年表を作るなどの実践もあるので、効果的だと思うものをアレンジして使ってみてください!

中学校でのキャリア教育実践事例②:企業体験

次に紹介する中学校でのキャリア教育実践事例は、企業体験です。企業体験をすることで、自ら企画、実行を行うので、キャリア教育の中で身につけたい、課題発見能力や課題解決能力、協力する力を育てることができます。

企業体験の実践は、1年生で働くことなどの基礎を学んだ後の2年生のタイミングがおすすめです。3年生になるとテストや受験で忙しくなり、集中して取り組むことが難しくなります。また、本格的に進路を決定する前に、企業体験をすることで、自分自身や自分の進路についてしっかり考えるきっかけにもなりますよね。

企業体験実践

では、宮城県立登米市立東和中学校で行われた企業体験の実践事例を紹介します。

内容は「中学2年生が、地域の秋祭りで自ら企画したものを販売する」という活動です。

授業のおおまかな流れは、

  • 会社設立(グルーピング)
  • 地域の企業家による講和
  • 企業理念や商品企画
  • 製品づくり、予算書作成
  • 模擬販売会
  • 秋祭り参加
  • 企業学習発表会

このようになっています。

企業体験が終わった後、子どもたちは、地域の方と関わることで地域愛が生まれ、仕事のやりがいや生きがいを理解することができたそうです。

まだ実践していない学校も多いですが、子どもたちにとって学びの多い時間になること間違いなしです。

地域のイベントで販売や発表することを目指して、計画していくと企業体験もリアルになって、授業ももっと面白くなるはずです。

中学校でのキャリア教育実践事例③:外部講師を招く

最後に紹介する中学校でのキャリア教育の実践事例は、外部講師を招いて講演会をひらくことです。

普段、関わることのない仕事をしている方や、地域で活躍している人材を学校に招いて、講演をしてもらうことは、新しい体験をするのと同じくらい良い刺激になります。

例えば、

  • 子どもたちの興味のある職業の方
  • 面白い経験をしている方
  • 企業経験のある方
  • 国際的に活動している方

など、普段の生活では話を聞く機会がない活動をしている方や、その時に子どもたちたちの興味関心が高い職業の方などを招いて、お話をしてもらうことで、子どもたちにはたくさん発見があるはずです。

講演の実施も、どの学年でも取り組みやすいキャリア教育です。いろいろな人の様々な経験を直接聞ける機会なので、1年に1度、職種の違う方を呼んで実施するのも面白いです。3年間で子どもたちの価値観もより広がっていくはずです。

では、講演会の事例を2つ紹介します!

職業人ワークショップ

例えば、東京の学校では、社会で活躍する方々を招いて、数人招いた形の職業人ワークショップを実践しています。

講師の方には、

  • 仕事の経験談
  • 学生時代の思い出
  • 子どもたちへのアドバイス

をしてもらい、子どもたちが職業へ憧れを持ったり、今何をすべきかを考えるきっかけづくりになっています。

ロールモデル講座

社会人講師を招いて、体験談講座を実施する学校もあります。

この講座を通して、社会人や大人のロールモデルを学ぶことができます。

子どもたちは、授業を通して、しっかりと実際の体験を学ぶことができるので、進路選択や将来を考える際なども自ら選択することができるようになります。

外部講師の派遣サービスもあるので、地域人材にこだわらずに、今の子どもたちの実態に合った素敵な人材を探してみるのがわくわくする授業づくりに繋がりますね!

中学生がわくわくするようなキャリア教育実践を!

今回は、中学校でのキャリア教育の実践事例を紹介しました!

忙しい先生方が、キャリア教育の授業を考える際の参考に少しでもなれば嬉しいです。

学校の実態や特色などによって、方向性が決まっている部分もあるかもしれませんが、いずれにしても中学生が自分の将来についてわくわくするような授業をしていきたいですね!

キャリア教育の授業づくり、応援しています!

参考資料

文部科学省 企業体験事例文部科学省 実践発表
経済産業省 キャリア教育が必要な3つの理由
文部科学省 キャリア教育とは?(実践例も含む)

引用

“キャリア教育とは、一人一人の社会的・職業的自立に向け必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育である。”

価値観マップ リベラルアーツ大学