生徒との人間関係、みなさんはどのように築いているでしょうか?近くなりすぎても指導がとおらない・・・遠くなっても悩みごとや本音を聞き出しにくくなる・・・。距離感の取り方がとても難しいところです。
また、一歩間違えると関係がこじれてしまったり、日々の授業や学級運営が非常に難しくなってしまったりする場合があります。
本記事では、生徒との人間関係を築くうえで役に立つスキルをご紹介します。
なお、本記事の生徒は、小学校高学年~中学生を想定しています。1つでも、「明日から試してみよう!」というスキルがあれば幸いです。
それでは、みていきましょう。
目次
これは生徒にかかわらず、初対面の人と関係を築く際に大切なことです。
ただ、友達関係を築くことと、生徒と人間関係を構築することは違います。前者は、ざっくばらんに自分を表現し、それに合う人と友達関係を構築できればOKです。
後者は違います。生徒と人間関係を構築する際には、「生徒が親近感を感じること」に絞って自己開示する必要があります。例えば、生徒が見ているドラマ、アニメや、人気な芸能人、ゲームなど、生徒にとって身近なものに関して、「自分はこんなことを知ってるよ」、「これが特に好きだよ」という風に自己開示するのです。そうすることで、「先生とぼくたち・私たちは同じことが好きなんだ!興味があるんだ!」と生徒に感じさせることができます。
併せて、基本的に生徒は先生のことを知りたいと思っているので、週末どのように過ごしたか、大学時代はどんな学生だったか、など、現在の個人情報を避けつつ適度に自己開示することも有効です。
自己開示のタイミングとしては、学級開きの時の自己紹介、授業の中で内容と関連させながらさりげなく、が良いです。何の脈略もなく自己開示をすると、生徒たちがタイミングを考えずに色々と聞いてくるようになるので注意しましょう。
「好き嫌いを無くしなさい!」、「苦手な人とも仲良くしなさい!」
私自身、小学生・中学生時代によく先生に言われました。皆さんはどうでしょう?
「先生らしい」言動は、ときに生徒との人間関係構築に支障がでる場合があります。等身大とはどういうことなのでしょうか?例を挙げて説明していきます。
まず1つ目の「好き嫌いを無くしなさい!」についてです。私は嫌いな食べ物を好きになることはできません。生徒の「嫌いなものありますか?」という質問に対して、「無いです。」と答える先生をたくさん見てきました。それでいいのでしょうか?
嫌いな食べ物は嫌いだと生徒にも伝えましょう。教えるべきことは、「嫌いな食べ物をつくらない」ことではなく、「食べ物と作ってくれた人に感謝する気持ち」です。
2つ目についてです。皆さんは、職場に苦手な人がいたらどうしますか?仲良くすることは目指さなくても、業務に支障が出ない程度に上手く付き合う道を探りませんか? 生徒にとってこれから必要なのは、「嫌いな人と仲良くする」ことではなく、「嫌いな人と適切な距離を取りつつトラブルを避ける努力をする」ことです。
等身大で接するということは、「完璧人間」であることではなく、「人間はダメなところもあるけど、それでもこうやって生きればいいんだよ」ということを示すということです。それが、生徒の安心感につながり、人間関係構築の助けとなるのです。ただ、等身大といっても、あまりにも自分のだらしない部分などは伝えすぎないように注意しましょう。
生徒に質問されたとき、「知らない」ということを隠したくなることはありますか?
私は初任時代、そんなことがたくさんありました。授業の準備をしながら、「ここ聞かれたら上手く説明できないかも・・・どうしよう。」と不安になり、眠れなかったことがあります。また、生徒に質問されてすぐに答えられず、知ったかぶりしてしまって後悔したこともありました。
でも、それではお互いのためになりません。大切なことは、自分が「知らない」ということを受け入れ、それを逆手にとって人間関係構築に生かすことです「それ知らない・・・」というシチュエーションとして挙げられるのは、生徒が興味のあること(ゲームやドラマなど)について話してきたときや、学習内容について少々マニアックな質問をしてきたときです。
まずは、「知らない」ということを正直に生徒に伝えましょう。ただ、それで終わるのはとってももったいないです。
特に、生徒のほうが詳しい分野についての場合は、「もっと詳しく教えて!」と伝えたり、さらに質問したりしてみましょう。生徒たちは、程度の差はあれど、先生のことを自分より上の人と認識しています。そんな先生から教えて!と言われると、とても喜び、たくさん話してくれるようになる生徒は多いです。
そこから、人間関係を構築していくこともできるでしょう。併せて気をつけてほしいことは、「興味をもっている」という姿勢をみせることです。生徒は先生のことをよく見ていますので、適当に質問をしたり、相槌をうったりするとすぐにばれます。
生徒の多くは、自分の考えていることや感じていることを肯定してほしい、認めてほしいと思っています。そして、もしあなたが生徒からそんな思いを打ち明けられることが多い、または経験したことがある、場合は、生徒たちはあなたに心を開き始めていると思っていいでしょう。
そんなときに大切なのは、どんなに偏った考えや意見を生徒が伝えてきたとしても、まずはそれを受け入れる、という姿勢です。「あなたはそう考えているんだね」「そういう考え方もあるよね」という風に、とにかく一旦受け入れます。
その上で、「ちなみに私だったら・・・」というふうにこちら側も“私は”という形で伝えるべきことを伝えます。
受け入れるという過程を経るか経ないかで、生徒とのコミュニケーションは全く違うものとなります。生徒は多様です。先生たちは、目の前の生徒に応じた対応が求められています。今回紹介したスキルが、少しでも先生方のお役に立てばと思います。
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