グローバル化が進み、大きな都市ではもちろん、小さな町でも海外出身の方と出会うことが増えてきました。観光客としてではなく、住み込みで働いている外国人の方も多いですよね。
少し前までは「自分はずっと日本に住んでいるから英語は勉強しなくても良い!」という考えで、英語を学習する必要性を感じていない子ども達が多かった印象です。
しかし、最近は日本に住みながらも英語が必要な機会が多いのが現状。
英語を勉強しない子ども達は、将来の選択肢が少なくなってしまう可能性があります。
この記事では、元英語教員が英語教育に焦点を当てて、グローバル社会に求められる教育を実践するためのアイディアをご紹介!「グローバル社会で活躍できる生徒を育てたい!」と思う先生にとって、授業作りをする上で少しでも参考になれば嬉しいです。
目次
現在、日本に住んでいる外国人の人数は、288万5,904人です。2012年の時点では203万3,656人で、人数はほぼ右肩上がりで増加。
グローバル化が進む中、会社によっては社内の公用語が英語だったり、週1で英語のスピーチを課せられたりすることもあります。英語が、仕事の場や日常生活のコミュニケーションでも必要となる機会が増えてきていますね。
グローバル社会で活躍する子ども達を育てるために必要なのは、英語教育を社会の現状に合わせて変えていくこと。「6年間も英語を勉強したのに、全く英語を使えない!」という子ども達が増えないように、学校教育でも工夫が必要です。
6年間公立中学校の英語教育に携わってきた経験から、「もっと子ども達が意欲を持って英語を学び、英語を使えるようになるにはどうすべきか」を考えてみました。
「グローバル社会に求められる英語教育」の実現に必要なことは、
・生きた英語教育ができる環境づくり
・楽しみながら英語に触れる時間
・英語を使う多くの機会
・自信が持てる評価
・英語学習の意欲がアップする経験
この5です。
それぞれ簡単に紹介していきますね!
グローバル社会で活用できる英語力を身につけるためには、「生きた英語教育ができる環境づくり」が欠かせません。公立学校の英語教育の環境を決める大きな原因は、教科書と入学試験の内容です。
先生方は教科書の内容に沿いながら教えるのはもちろん、子ども達の進路実現に向けて、入試に向けた対策を実施しなければなりません。
どれだけ教科書の内容がコミュニケーションを重視していても、入試で求められる力が「文法」や「リスニング」なら、コミュニケーションに使える授業時間が限られてしまいますよね。子ども達の中には「コミュニケーションや話す力は、入試に関係無いから、もっと入試に関係のある勉強がしたい。」と思ってしまう生徒もいます。
もし、試験項目の中に「英語を使って話す試験」が取り入れられたら、学校の授業でもコミュニケーションや話す練習にもっと力を入れることが可能。
その結果、「使える英語力」が身に付く英語教育を実践できるでしょう。
英語を活用できる人材を育てるためには、まずは入試の内容を見直し、英語教育の環境を整えることが大切です。
2つ目に紹介するのは、「楽しみながら英語に触れる時間を作ること」。子ども達が英語に興味を持って、勉強に力を入れるきっかけになるのは、自分の好きなことである場合が多いです。
例えば、
「洋楽が好きだから、詩の内容を理解したくて、英語の勉強を頑張っている。」
「オンラインゲームで外国の人と関わったので、もっと英語を使ってコミュニケーションをとりたいと思った。」
などという生徒に出会ったことがあります。
好きなことに英語で触れられる機会は、子ども達の「英語を勉強したい」という意欲を高めます。入試のために勉強する場合より、使える英語を身につけるためのモチベーションが格段に上がることが想像できますよね。私も「留学中に出会った友達とコミュニケーションがとりたい!」という思いが強い時に、英語の勉強に熱が入りました。
好きこそ物の上手なれという言葉がありますが、まさにその通り!授業内や授業外で子ども達が英語に楽しみながら触れる時間や、機会を作ることが大切です。
「好き」をきっかけに目的や興味を持って英語学習に取り組むことで、学習のモチベーションが上がり、英語力が身に付ついていくでしょう。
「英語を使う機会を増やすこと」が、グローバル社会で必要な英語力を身につけるための近道になります。英語は、一生懸命学校や家で学習しても、アウトプットをして使う練習をしなければ、コミュニケーションの場面でうまく使うことができません。
アウトプットの機会が少なければ、「英語を話すのが恥ずかしい」という気持ちや、「間違えたらどうしよう」という気持ちが先行し、積極的に使うことも難しいですよね。
そのため、学校の授業で英語を使う機会を多く設定することが大切。
毎回の授業で英語を使ってコミュニケーションを取ることで、
・英語を使うことに抵抗がなくなる
・コミュニケーションに必要な表現が身につく
このようなメリットがあります。
私が中学校で勤めていた時は、英語の授業の冒頭でほぼ毎回、話す活動を取り入れていました。活動を繰り返すことで、子ども達は英語を話すことを恥ずかしがらず、自分が使える表現を使って、クラスメイトとの会話を楽しんでいました。
英語を使ってコミュニケーションをとる機会を多く設定することで、子ども達が英語を使うことに抵抗がなくなり、学校外でも英語を使う力が身に付きます。
評価は英語教育のあり方を大きく左右します。子ども達がグローバル社会を生き抜くための英語を使えるようになるには、「英語を使うことに自信が持てる評価」が必要です。
定期テストだけで評価をすると、「問題が解けたかどうか」で点数がついてしまうので、学習が苦手な子はどんどん英語が嫌いになってしまいます。
一方で、
「コミュニケーションの取り方を工夫している」
「自分がわかる単語で一生懸命相手に伝えようとしている」
などの項目でしっかり評価をすることで、テストが苦手な子ども達も、英語を使うことに自信が持てるはず。
定期試験でコミュニケーション力や、話す力を評価するのは難しい場合が多いので、日頃から定期的にパフォーマンステストを実施するのがおすすめです。
パフォーマンステストで、子ども達の「コミュニケーションを取ろうとする姿勢」や「伝えようとする姿勢」を積極的に評価することが大切。筆記や問題を解くのが苦手な子でも、英語に対して自信が持てるフィードバックを心がけたいですね。
最後に紹介するグローバル社会で活用できる英語力を鍛えるための実践は、「英語学習の意欲がアップする経験の設定」です。
「英語力って今の社会でこんなに求められているんだ!」
「英語が使えたら、こんな仕事もできるんだ!」
などと、子ども達自身が気付ける機会を与えることで、英語学習の意欲が向上するきっかけに。
英語学習が大切なのはわかっているけど、実際に実感が湧かない子ども達もたくさんいますよね。特に小さな町に住んでいると、「会社で英語が公用語」等といわれてもピンときません。
英語の学習意欲がアップする経験として、例えば人との出会いが挙げられます。
実際にグローバル社会で様々な経験をしながら活躍している方の話を聞くことで、英語を勉強するメリットに気付くことができるでしょう。
「こんな大人になりたい」という思いは、自分の人生を生きるための原動力に。
授業の一環や、キャリア教育の時間などを使って、グローバル人材を招く機会を作ってみるのも面白いですね。
日本に住む外国人の人口も増え、世界のグローバル化は進んでいます。
グローバル社会を生き抜く子ども達を育てるために、重要な役割を果たしている英語教育。
入試の制度やテストのあり方など、先生方一人ひとりで改善するのは難しい部分もありますが、少しの工夫や実践で子ども達に意欲や自信を持たせることは可能です。
できるところから少しずつ、子ども達が社会で活用できる英語力を身に付けられるように、授業づくりで工夫を重ねていきたいですね。
参考文献
・グローバル化と教育に関して議論していただきたい論点例
・グローバル社会、どんな力を育むべき?
・英語力が問われる会社ランキング!
・令和2年6月末における在留外国人数について
・日本に住む外国人の数は?日本で働く外国人の数は?日本に住む外国人まるごと解説~【2020年6月末/10月末 最新版】在留外国人統計より~
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