キャリア教育が重視され、生徒の将来のために力を入れるべき進路指導ですが、普段忙しい先生方は様々な悩みを抱えているはずです。
普段の業務、授業、生徒指導、行事の企画運営など、日々の仕事が忙しすぎて、「進路指導を丁寧に進めたいけど、なかなかうまくいかない…」こんな現状はありませんか?
今日は、教員が抱える進路指導の悩みあるあると、それらの悩みを解決する方法を3つ紹介します!悩みが1つでも解決することで、進路指導がスムーズに進むので、今日紹介する解決策でいいなと思うものがあったら、ぜひ明日からの進路指導に役立ててください!
目次
まずは、多くの先生方が抱える進路指導の悩みを紹介します。リクルート進学総研が行った「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査」では、高校教員の9割以上が「進路指導が困難」と感じているということが明らかになりました。
その理由の上位3つが、
1位:入試の多様化
2位:教員が進路指導を行うための時間不足
3位:生徒の進路選択・決定能力の不足
これらの理由です。
入試制度や大学の学部や学科の種類が複雑化している現状が、先生方の進路指導における1番の悩みです。実際に自分が体験したことのない複雑な試験制度に向けて、進路指導をするのは生徒も先生方も不安に違いありません。
また、先生方の業務量が多く、進路指導を行うための時間が確保できないのも悩みの1つです。進路選択は、生徒が抱える大きな不安要素の1つなので、しっかり丁寧に指導する必要がありますが、実際は時間の確保が難しいのが現状です。
さらに、生徒が自分の進路を選択し、決定することができないという悩みもあります。文部科学省の調査によると、高校生が自分の進路を考える時に「自分がどうなってしまうのか不安になる」という生徒が約半数おり、「自分に合っているものがわからない」「やりたいことが見つからない、わからない」という生徒も多いことがわかりました。
入試の多様化、進路指導の時間不足、生徒の進路選択・決定能力の不足、これらの3つが、先生方が進路指導の際に抱えるよくある悩みではないでしょうか。
では、これらの悩みをどのように解決できるか考えていきます!
まず、入試の多様化の悩みを解決するために、外部人材を活用するのが1つの解決策です。
例えば、
・入試に詳しい専門家
・生徒の希望が多い大学の入試担当
このように、実際に入試のノウハウを把握した専門家の方に入試について説明してもらう機会を設定することで、教員が入試について完璧に把握して、説明しなくてはいけないというプレッシャーから解放されます。
また、就職希望者が多い学校なら、入試ではなく就職についての専門家や、社会人を招いて面接や社会で求められる力について話してもらうのも、生徒にとってはリアルな話を聞ける貴重な機会になります。
「すべて自分でやらなくちゃ!」と責任感の強い先生が多いと思いますが、専門的な分野は専門家に任せることで業務や悩みを1つ解決することができます。
次に紹介する解決法は、進路指導の時間を確保するための教員の業務量の見直しです。これは、学校単位で業務量を見直す必要があるので、少しハードルが高いかもしれません。ただ、将来に向けて不安を感じる子どもたちが多いことが明らかになっており、進路指導の時間の確保はしっかりと行いたいポイントです。学校全体で必要のない業務をスリム化して、進路指導の時間を確保したり、キャリア教育を計画する際に、しっかりと生徒と向き合って話す時間をあらかじめ設定したりするなど、進路指導の時間不足を解消する工夫が必要です。
放課後の時間を奪う活動の1つとして、部活動の指導がありますが、部活動業務の見直しをすることで、放課後の時間を進路指導にあてることができます。今は部活動を外注して、教員の時間を生み出している学校もあるので、教員の業務量を見直す方法の1つとして検討してみる価値はあります。
最後に紹介する進路指導の悩み解決法は、生徒の自己理解をサポートすることです。教員が進路指導の際に抱える悩みの3つ目に、「生徒の進路選択・決定能力の不足」があります。この問題を解決するために、生徒が自分自身について理解をし、自分自身が価値のある人間だと自信を持って将来に進んでいくことができる環境づくりが必要です。
例えば、キャリア教育の授業の中で、生徒たちが自分の大切な価値観や夢に気づけるようにマインドマップの作成やライフプランの作成をして、クラスメイトと交流するという活動があります。この活動を通して、自分のやりたいことや将来を深く考えるきっかけになったり、クラスメイトの考えから刺激を受けたりして、将来どのように生きたいかを具体的に考える機会になります。
また、生徒が自分に自信を持つきかっけになったり、挑戦をしたりする場として、体験活動に力をいれている学校もあります。週1回地域の施設や企業で実習を行なったり、地域と協力をして商品開発をしたり、国内外の生徒と一緒に課題解決学習をしたりと、学校によって特色のある体験活動が実施されています。これらの活動を通して、生徒たちはやりたいことをみつけたり、自分に自信を持って入試で挑戦できるようになったりと変化を見せていることも多く、体験活動が生徒たちに与える影響の大きさがわかります。
キャリア教育の全体計画の中に自己理解の機会や体験活動を取り入れ、生徒が自分自身を知り、興味のあるものを見つけ、それに向かう姿勢をサポートすることで、「生徒の進路選択・決定能力の不足」はおのずと解決していくはずです。
今回は、先生方が抱える進路指導の悩みあるあるとその解決法を3つ紹介しました!
日々の業務が忙しくて、なかなか進路指導に時間を避けない場合もあると思いますが、少しずつ進路指導の充実に学校全体でシフトしていくことで、生徒たちが今より自分を理解して、将来にわくわくしながら生きていけるようになるはずです!
貴校の進路指導の充実に、この記事の内容が少しでも役に立てば嬉しいです!
参考文献
・【進路指導・私の工夫】個別指導の際「やりたいことがわからない」生徒がいた時
・高校の進路指導・キャリア教育に関する調査
・文部科学省「進路を考えるときの高校生の気持ち」