現役大学生に聞いた!進路を決めるうえでやっておいてよかったこと

この記事の要点

  1. 生徒に合った”選択肢”が大事
  2. 情報収集や対策は早めに
  3. 相談できる環境づくり

人生の重要な岐路の1つである、高校時の進路選択。高校生にとっても一大イベントではありますが、実は学校の先生や保護者の皆さんにとっても頭を悩ますところ

・どんなアドバイスをすればよいのだろう
・効果的なキャリア教育のプログラムとは何か
・どのくらいの時期に決めるべきなのか
・自分の学生の頃とは就職の状況も違うし…

実際、生徒一人一人に寄り添った進路指導は多忙な教職員の皆さんにとっての負担も大きいでしょうし、キャリア教育的な取り組みはゴールの設定やその効果を検証することが難しいため、頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。

そんな皆さんに向けて、将来的に高校生が充実したキャリアを歩むためにどのようなサポートが効果的なのか、実際にどんな言葉や取り組みが高校生に響くのかを一緒に考えていただきたいと思います。

そして今回は、現役大学生の2人に自身の大学進学時の進路選択を振り返っていただき、やっておいてよかったこと、役に立ったと感じるサポートなどについて語っていただきました。

ぜひ最後までご覧下さい!

高3の夏に理系志望から文系への大転換 T・Mさん(国立・文系)

某国立大学の経営学部に通うT・Mさんは、進学実績も豊富な公立の高校に通っていた。高3の夏。受験生にとって重要なこの時期に、Tさんの勉強へのモチベーションは下がる一方だった。

Tさん
Tさん

自分は心配性なので、当時からよく大学に入った後のことを考えていました。その際、理系で専門性の高い学部に入ると大学卒業後の選択肢がかなり狭まっちゃうのかな…と思い始めて、勉強に身が入らなくなってしまいました。

今でこそ理系学部から文系就職することもざらにあると知ったが、高校生の限られた情報源ではそういったことを知る機会も少ない。

Tさん
Tさん

そうやって可能性を狭めるくらいなら、むしろ広げられるところに行きたいと思うようになり、高校3年生の夏に今所属している学部を第一志望に変更しました。経営学部が持つ“企業活動全体への学び”という汎用性の高さに惹かれていた部分もあります。

一見すると、思い切った決断に周りはさぞ冷や冷やさせられたのだろうと思うが、意外にも両親や通っていた塾からは特に反対されなかった。

Tさん
Tさん

高3の夏までには、ある程度偏差値の高い大学に受かることを目標に勉強していたこともあり、あまり反対はされませんでしたね。

それに、心配性な性格もあって、大学入学後の学びや受験方式についてかなり調べていたことも幸いしました。その甲斐あって、それまで自分が勉強していた内容を無駄にせずに受験できる学部を見つけることができました。

その後、Tさんは第一志望の大学に合格し、充実した大学生活を送った。現在では春以降の大手金融系への就職も決まっている。


高3の夏に文転し国立大に合格。Tさんがこのような荒業をやってのけたのは、

①早くから大学についての情報を収集していた
②早め早めの受験対策を講じていた

という2つの取り組みが重要なポイントになったといえるのではないでしょうか。

本人は「心配性」というネガティブな言葉を使っていますが、未来を想像して積極的に行動するその姿勢が、急な方向転換にも耐えることができる土台を作ったのではないかと筆者は感じました。

英会話スクールからおじいちゃんまで、たどり着いた一つの答え K・Yさん(私立・文系)

東京のとある私立大学に通うK・Yさんは、本人曰く「もともとぼーっとしている子ども」だったという。

Kさん
Kさん

高校時代はこれといった将来の夢がなく、それがとても不安で。なので大学では一つのことに絞らずに、いろんなことを勉強したいと考えていました。

とはいえKさんの家の近くには希望するような大学が見つからず、また地方で気軽に都内へ行ける距離でもなかったため、オープンキャンパスなど現地で情報を得ることが難しかった。

そこでKさんは、家族や教師、高校OGなど様々な人に相談することで多様な考え方や情報を取り入れていた。

Kさん
Kさん

家族はもちろん、時通っていた英会話スクールの先生によく相談に乗ってもらっていて。何人もの講師が自分の大学の情報や経験を聞かせてくれたり、たくさんサポートしてもらいました。

英会話スクールという一見すると進路選択とは関係のない場所にもヒントは転がっているのだ。

Kさん
Kさん

おじいちゃんにも話を聞きましたが、価値観が違っていたのであまり参考になりませんでした(笑)

そんなKさんが現在の大学に入学を決めたのは、卒業生への相談がきっかけだった。

Kさん
Kさん

いろいろな勉強ができる大学を探していると先輩に相談したところ、その人の所属していた大学の学科を勧められました。そこは比較的必修科目が少なく、教養科目をたくさん履修することができるという特徴があって、自分にとって理想的な場所だと思いました。

実際、今所属しているその学科では、様々な事柄を学ぶことができるので非常に満足しているという。

Kさん
Kさん

そういう細かい情報ってなかなかパンフレットやオープンキャンパスからは見えにくい部分なので、先輩と個別に話ができたからこそ巡り合えたのだと思います。


自分のやりたいことや進む道をなかなか見つけることができなかったKさん。そんなKさんが志望校を定めることができたのは、

①周りのさまざまな大人への相談
②進路を無理に絞らなかったこと

という2つの大きな要因があったからだと考えられます。

現代の日本では、子どもが関わることのできる大人の数が減っていると言われています。しかし、多様な経験や知識を持つ大人と多く触れ合うことで、高校生はさまざまな情報や考え方に触れ、より多角的に自らの将来を考え、意思決定することができるようになるのではないでしょうか。

この記事のまとめ

いかがでしたでしょうか。

今回取材したお二人の経験から共通していることは、

【自分に合った選択肢に出会えるかどうか】

が、進学後の納得度や充実感に大きく影響するというものです。

ただ、まだ社会との接点が少ない高校生にとって、信頼できる相談相手を見つけることや、適切な情報を入手することはハードルが高いとも言えます。

そうした状況の中で、周囲の大人が本人に合った選択肢を見つけることができるよう、サポートしてあげることが重要なのかもしれませんね。